魂の交感

見ることを許して下さい
そして見えたものを名づけることを
形に溺れ色に淫し
そのあまりの美しさに
すべてを幻とすら思おうとする私たちに
もういちど見ることを許して下さい
見てしまったことを許して下さい
与えられた眼の限界を超えて
恐れ気もなく秘密をあばき
そのためにいつか跪くことを忘れ
みずからの造り出した一瞬の閃光に
盲いようとする私たちを許して下さい
 
谷川俊太郎 「光」

 
愚かな行為なのかも知れない

世界に救いはない
世界はただあるがまま
「宇宙にはどんな善意もないが、悪意もまたありはしない。
ただ隅々までびっしりと細部の詰まった、巨大な空白があるばかり…」
 
その空白に耐えきれなくなって
人は見ることをはじめ
それを名付け
更にはみずから造り出した…?
 
わたしこそ、私の宇宙
わたしは私の呼ぶ世界から逃れることはできない…
 
どこまで、…違う
どこにいけば
魂の交感は可能?