愛なんていらねぇよ、春

唸りが声になって
声がやがてコトバになって
コトバがいつか文字になって
文字が活字になってフォントになって
いま私はキーを打っている
　
とても長い道のりだったが
ヒトはみな生まれた瞬間から
その道のりをたどって来たのだ
　
そしていささか疲れている
コトバのGNPがあまりに膨大なので
　
「進化？」　谷川俊太郎
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長いあいだ
とても長いあいだ
私たちは言葉から抜け出せずにいる
言葉で考え　言葉で教えられ　言葉で表現して　言葉で傷つき　言葉で傷つける
この墜落するループから抜け出す方法を私たちは知っている
それが愛かどうかなんてどうでもいい
呼び名が違うだけで
光も闇も同じところにある
人だけがこの世に存在しているわけではない
このことが人にどう影響するのか
そんなことを議論する余地もないほどに
いまこのセカイには重力が足りない。
　
空の向こうになんて、行けないほうがいい。
私たちは、落ちてしまう。
はじまりの青に墜落する。
人は青を持たない。
そんなところに行ったら、愛しかなくなるよ？
愛だけなんて息苦しい。不安よりも、恐ろしい。
神様の知らないこと、私たちは知れるだろうか
愛以外に　生きてこの存在を定めることは可能？
ひとりのまま、どこまで行ける？どこまで生ける
　
その答え以外にわたしは、何を持っている
その問いの本質は　一体なんだ
存在よりももっと、もっと深いところに、
この問いの中に答えはある
私は拡散せずに、死なずに
どうしたら自由になれる

プラネテス(3) (モーニング KC)