臨界域

「時が過去から未来へ流れることは不変だと信じていた
 
時間という概念は人間たちが思考した尺度でしかなく
真実は空間と連鎖変動する値でしかないと知った
時間も空間も常に変化し確定しないものだと知ったとき
人間は存在の意味を見失ったのではないか
この時空も 私も 全て幻だったのかもしれない
 
観測することによって存在は確定される
 
私は君を見つけた
だから君は存在する
そして
君も私を見つけた
だから私はここにいる」
 
私の言葉に直すなら
 
存在として確定できないもの
見えてるのにない/聞こえるのにない/匂うのにない
でもここにあるはずなのに?「見えている」ということだけでは存在は不確定だということについて
ここにいるのにここにはいない
どこにでもあってここにはないかも知れないもの
そんな不安に人はどこまで耐えられるのかな
私は耐えられない もう 限界だと思う
だから理由ばかり探している ずっと
その為の美術だったのに、みんな棲み分けたがるから
なんだか息苦しくてたまらなくなるよ
どこにいても 理解なんて存在しない
無理解は人の存在よりも確定的なことだ
 
アザは消えないのさ
言葉も思い出も約束も
アザだ
アザは生きているね
染みついた汚れ
 
社会というものを経験して
それでも譲れないものを持って棄て切れなかったら
それが私の本質なんだと思う
 
私は私を知りたい
だから生き様が芸術になるんだと思う
それしか芸術に成り得ないとも思う
 
叶ってはいけない/叶わない願いを それでも願わずにはいられない祈りを
捧ぐよ
 
悲しい願いにすがるよ
今はそれでしか自分を証明できない
 
私は君の心臓になりたい
沈みたい
君の体液に揺蕩っていたい


私は君を見つけた
だから幻なんかじゃない
そう信じているんだ
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